月に誓う

今日と明日は掃除のバイトが無いので気分的にリラックスして店のことに集中出来る。掃除がある日は5時前になるとソワソワして落ち着かない。殆どお客さんにも集中出来ない状況で、すでに掃除用の服に着替え出して工事の人が着る作業用の蛍光ベストを着て店でスタンバっていたらかみさんに怒鳴られた。


2時間半しか給料が出ないので本来ならこの時間内に終わらせるのがベストだが、どうやっても終わらない。大手運送屋の掃除なので建物の中がとにかくデカい。長距離のとんでもなくデカいトラックが何台も入る倉庫をあっちこっち歩いて、掃除道具を持っていくだけでも大変だ。


野郎たちのトイレの掃除もとんでもない、最初は鼻が曲がりそうだった。目の中に便器の飛沫が入った時はもう止めてやると思ったが我慢した。壁に向かって立ってする所の小便が巻き散らかったフロアの掃除も最初は「何で俺がこんな事しなきゃいけないの」と無性に怒りが込み上げて来た。


今まで掃除の仕事なんて考えてもみなかったけどこれもまた人生、いつか良いことがあるに違いないと思ってここは前向きに捉えることにした。昨日は掃除の仕事が終わった後に夜空を見上げたら寂しそうなおぼろ月夜が自分を見ていた。この月に向かって自分は絶対にこのままでは終わらないと固く心に誓った。