飛躍の兎年

お正月も終わって明日からまた日常に戻って行く。期待した年末年始も特に何も無く終わってしまった。唯一「これぞ!お正月のお客さん」という家族連れが1組来て、コロナ前を思い出すような豪快なお買い物をしてくれた。ただ、日本人といえども年末年始に期待するほど昔のような買い物はもうしない。


今年は兎年、その動きから「飛躍」「向上」さらに繁殖力が強いことから「家族繁栄」を象徴する年に例えられている。ということで日本では「うさぎ」は良いことが多いけど、実はオーストラリアではあまり評判の良い動物とも限らない。オーストラリアにはもともとうさぎは生息しておらず西洋人に入植の際に持ち込まれた動物だ。


1859年、農場主として成功を収めたトーマス・オースティンが狩猟の趣味を満たすために母国イギリスからクリスマス・プレゼントとして24匹のうさぎを送ったことで、その後の環境破壊に繋がって行く。オーストラリアの野生動物はうさぎを襲うような肉食獣が少なかったことから広大な牧草地で、繫殖力の強いうさぎは瞬く間に数を増やしていった。


僅か3年で数千匹に増えたうさぎは農場の草を食べ尽くし、1920年には100億匹を超えるうさぎが生息していたらしい。農地被害はもちろんカンガルーやウォンバットなど草食動物にも影響を与えていき、ウサギはオーストラリア固有種の動物たちの環境息を脅かしていった。


政府は様々な方法でうさぎを減らしていったが、現在でもざっと約2億匹のうさぎが生息しているだろうと推測されている。こうした経験から政府はうさぎをペットとして飼うことに規制を設け、特にクイーンズランド州ではうさぎうの飼育を禁止している。愛らしいうさぎも殊オーストラリアではちょっと違った意味合いを持つ。しかし、今年はそのうさぎにあやかって是非とも飛躍の1年に繋げたい。