ごめんね,ハチ

朝、柴犬のハチに「行って来るね」と声をかけて仕事に向かうが、最近はその場を立ち去ろうとすると悲しそうな目でずっと自分を見つめている。その時のハチの表情を見ていると何だか可哀そうで「ごめんね」とつぶやいてしまう。ハチといっしょに過ごす時間が今は全く取れていない。


ハチが悲しそうな目をするのは自分でも分かっている。以前なら仕事の前に車でビーチに散歩に行くのがハチの一番の楽しみだった。「ハチ行くぞっ」と言うと「ハッハッ」と息を切らして庭を駆け回りその喜びを表現する。いつも車の助士席にチョンと座って窓から受ける風が気持ち良いのか表情はいつも同じで目を細めてポーっとしているのが常だった。


ビーチに着くや否や「早くビーチに行きたい」と言わんばかりに嬉しくて待ちきれずに、繋いだリードをぐいぐい引っ張って進んで行く。自分が「海だっ」と言うと興奮して目が泳ぎだすのだがその表情が面白い。そんなハチの大好きな時間も今は無い。仕事に行ってしまう自分が分かっているので落ち込んでしまい悲しい表情を浮かべてしまう。


昨日もウーバーのデリバリーで帰宅が10時を回ってしまった。ガレージのシャッターが上がる音で「帰って来た」とハチは気付く。「さぁ,行こう」とすぐさま散歩に出かけようよしたら嬉しかったのか庭をぐるぐると駆けずり回っていた。ちょうど皆既月食の時間で月がかけて見えていた。ハチにはわからないだろうけど「月がかけてるよっ」と言ったら何だか笑ってるような顔をした。