黄色い鶏冠のくせ者

この季節になるとケアンズではマンゴーやライチなど色々なフルーツが顔を出す。かみさんがいつも楽しみにしている庭の柵に育つパッションフルーツが実を付けだした。黄色いパッションフルーツで珍しい、ケアンズのような暑い気候のところに出来る酸味と甘さが絶妙なバランスのフルーツだ。


この黄色いパッションフルーツはかみさんのこだわりでこの色でないとダメだそうで、以前、芝刈りの時に間違ってこのパッションフルーツを刈ってしまったことがあるのだが、その時のかみさんの怒りは尋常では無かったのをよく覚えている。とにかく、このパッションフルーツにすごい愛着があるのだ。


その手塩にかけて傾慕を注ぐパッションフルーツだが、そこに同じ黄色の鶏冠を持つオウムのカカトゥー(キバタン)が容赦なくフルーツを食い荒らしてしまうのだ。すごく頭の良いオウムでちょうど実が熟した食べ頃のものだけを選んで狙うとんでもない奴らでほとほと困っている。明け方一番にやって来て食べ終わると「満足じゃ~」と言わんばかりに「ギャ、ギャ、ギャ、ギャァ~」とけたたましい鳴き声で飛び去って行く。


うちの犬も透かさず追い払おうと走って威嚇するが、「ここまでおいで~」と嘲笑うかのように脂粉をまき散らして飛び去って行くのである。それで今は息子が作った顔だけの土偶みたいなものを柵の下に置いてカカトゥーを威嚇している。これが今のところ功を奏してパッションフルーツは無事に実を付けているが、頭の良いカカトゥーの事、いつか見破って再びパッションフルーツを狙い撃ちするに違いない。