庭で過ごす一日

夜明けのまだ早い時間、「キャーん、キャーん」という犬の鳴き声で目を覚ます。寝ぼけながら鳴き声のする庭の方を見ると、うちの犬がフェンスの格子に頭を突っ込んだまま動けくなっているので土砂降りの雨の中、何とか格子から頭を引っ張って助け出した。こんな早朝から一体何をしているのかと呆れかえる。


ずぶ濡れになった体をタオルで拭いている間も犬はまるで悪夢の出来事だったように、そのあとは微動だにせずキョンと一点を見つめていたが、時折光るカミナリとそのあとに鳴る「ゴゴゴーん」という音に反応して雨の降り続く中、せっかく拭いてあげた体も再び庭の中を訳もなく走り回りながら空に向かって吠えまくっていた。


午前中は雨も止んでどんよりとした曇り空だったので太陽が出ない今がチャンスと、雨で抜き易くなった庭の階段下に伸びるボウボウの雑草を毟り始めると、今度は強烈な太陽の日が顔を出し始めてその後も首筋辺りの肌を刺すように容赦なく日が照り続ける。2時間ぐらいするとクラクラになって土手に座り込み、犬と同じようにしばらく一点の空を見つめていた。


夕方は近所に住む友人宅にお邪魔してクリスマスのディナーをご馳走になる。リノベーションした庭が以前と比べて見違えるようにおしゃれになり、うちのかみさんもすごく羨ましがっていた。早速、その素敵な庭でシャンペンを開けながら、友人家族がもてなしてくれた目を見張るような手料理を頂いて、その後も静かに聞こえる音楽を楽しみながら、明かりがきれいな夜の庭で時間を忘れて会話にふけった。