苔玉作り

かみさんが作る苔玉がぽろんぽろんと売れる。最初は自然の緑の苔を使って作っていたが緑の苔は剝がれやすく、また枯れるのが早くため市販の苔で作ることにした。土台となるピートモスの土を水切りのザルを使って細かい土だけ分けて振るい落とす役目は自分が担っている。一袋の土を全て振るい分けるのに2時間ぐらい要するけっこう地味な作業だ。


この苔玉作りだがかみさんはすごく楽しんでやっている。最近は妙にプラントに愛着が湧いて「この子は育つのが早い」とか「この子は元気が無い」とかぶつぶつと独り言を言って毎朝、ひとつひとつのプラントに話しかけている。苔玉の中に入れる小さなプラントをナーサリーに探しに行くのが特段に楽しいらしい。


今は限られた時間の中でしか作ることが出来ないので、当然そのフラストレーションの矛先は全て自分に来る。「あんたもたまにはご飯ぐらい作ってよっ」は毎度のフレーズで「家の掃除ぐらいたまにはやってよっ」が次に来るフレーズ、最後はだいたい「ほんとに何にも出来ないんだからっ」と何も役に立たないかのように額に青筋を立てて怒り出すのがいつものパターン。


ただ、苔玉を作っている時だけは至ってルンルン気分でジキルとハイドのような移り変わりよう、そこに七面鳥のタッキーが来ればもうそれは至福の時間かのように、かみさんにとってはこのひと時が今の生きがいになっている。だから苔玉を一緒に作ることは自分にとってもたいへん重要なことなのだ。