失いかけたもの

マリーバのバナナファームで働いていたワーキングホリデーの女の子たちが最後の買い物に訪れた。いつもファームからマリーバ特産の「レディ・フィンガーバナナ」を持って来てくれる陽気な女の子たちだ。来週早々にメルボルンに旅立つらしい。二人組の女の子たちでいつも仲が良いのだがひとりは車でメルボルンまで行くそうで、お互いそれぞれ別の道を進むということ。その彼女の車はピックアップのトラックだった。道中、是非気を付けて行って欲しい。


これで自分が知っているケアンズで働くワーキングホリデーの若者も殆どいなくなってしまった。コロナ前には学生ビザでケアンズに来ている子なんかもたくさんいたけど、日を追うごとにどんどん姿を消していく。一年前まではこうした子たちがケアンズにいたことが普通に当たり前だったことを思うとやっぱり今は普通じゃない気がしてならない。


ワーキングホリデーで訪れた今の若者たちは、一年間のビザをさらに延長するためにファームで働く子が多い。オーストラリアでは農家の働き手が少ないのでそれをカバーするために政府がこうしたビザを持つ子たちにファームで働くことを条件にセカンドビザを発行している。中には過酷な労働条件で働くこともあるそうだが、彼らにとって今やファームは避けては通れない道らしい。


このファームで働くワーキングホリデーの若者はみな陽気でエネルギッシュ、自分が失いかけていた「GO FOR IT」(やってやるぞ!)の精神を呼び起こしてくれる。だから彼らと話しているとすごい楽しい。若者はとにかく怖いもの知らず、こんな鋭気を貰える子たちも今はもうケアンズには殆ど残っていない。