人間らしい生活

年に一度必ず受けなければならない、狂犬病の予防接種だ。毎年4月のこの頃に通知が届く。「あぁ。。もう、そんな時期かぁ。。」と1年があっという間に過ぎて行くのにあらためて気付かされる。そう、ちょうど去年の今頃と言えば海外封鎖が始まって間もない頃、これからどうなるんだろうと不安な毎日だった時だ。


店を開けて営業していいのか悪いのかよく分からず、とりあえずドアを半分だけ開けてお客さんが入って来ると電気を付けてやっていた。回りの店は殆ど閉めていたけど自分たちは他にやることが無いので、とにかく店に来て営業していた。売上なんか殆ど無い日が毎日続いてたけどひたすら店を開け続けた。


夕方5時になると店を閉めて柴犬の「ハチ」を連れて海岸通りに向かい、海に沿った日没間近の遊歩道をゆっくりトコトコと散歩していた。毎日が不安だったけど今は散歩も出来ないので逆にあの頃が懐かしい。途中、ハチといっしょにボーっとペリカンの群れを見ているのが散歩の日課だった。散歩の後はハチもいっしょに車で帰れるので何か嬉しそうだった。


最近は掃除とウーバーの仕事でなかなかハチにかまってやれない。朝、仕事に行こうとすると自分を見ながら悲しい顔をする。先日、時間の無い中、久々にハチを車に乗せて予防接種を受けに動物病院に向かおうとすると、嬉しいのを堪え切れないのか大はしゃぎで庭を駆けずり回って愛敬を振り舞いてた。


本当ならもう少しハチをかまってあげたいのだがなかなかそうもいかない。ハチも最近は大好きな車でのドライブもお預けになってしまっているので、何だか元気無くしょげていることが多い。今はハチのためにも早くこの乾いた生活から脱して以前のような人間らしい生活を取り戻したい。