忘れかけた同じ呼吸

4月も残り少なくなったこの時期に長雨が続くのはあまり記憶にない。今日も朝からどんよりとした曇り空で、まるで雨季に逆戻りしてしまったような湿度の高い蒸しっとした天気が続いている。思えば今年は台風も無く例年に比べて雨が少なかったので、住んでる身としては有難かったがその反動だろうか? ここに来てなかなか青空にお目にかかれない。


昨日も夕方に一瞬のぞいた晴れ間を見計らって芝刈りを敢行したが、降り続いた雨のおかげで芝が重すぎて上手く刈ることが出来なかった。最近は日が暮れるのも早くなって真っ暗になってしまった庭に立ち、再び降って来た雨に打たれながら中途半端に刈った芝を見て、止めれば良かったと厚い雲に覆われた夜空を暫し見上げて立ちすくむ。


店ではイースターホリデー以来久しぶりに、アデレードから来たという邦人のお客さんと会話が弾んだ。不思議なもので居心地が良いのか馴染みがあるのか、旅行者であっても日本人はいつも違和感も特に感じず自然な装いで店に入って来る。普段これだけオーストラリア人に接していると分かるのだが、日本人同士の阿吽の呼吸とも言うべきものなのだろうか?


もちろん会話が日本語なのでそれが一番だが、以前は日本人の旅行者が当たり前のように店に訪れて自分もそれが当たり前のように普通に接していた。上手く言えないのだが、この忘れていた何か日本人旅行者が持つ特別な雰囲気と感覚が忘れられない。今では本当に数少ない邦人旅行者だが、今日は彼女が店に来てくれたお陰で以前感じた思いが蘇った。