こいのぼり

今日は朝から抜けるような澄みきった青い空がケアンズに広がった。ところどころに低い小さな雲がぽっかり浮いている。気持ちのいい朝だ。昨日の夜に満天の星空を見て今日はいい天気になると確信した。天の川がゆらゆらと漂う中、ひと際輝く南十字星が天上の真ん中を陣取っていた。


日本は今日、子供の日。こいのぼりが空に泳いでいる風景が懐かしい。5月の新緑の季節の中で、うららかな風に乗って泳ぐこいのぼりの風景は実に見ていて気持ちが良い。息子がまだ幼かった頃、ユニット暮らしだった当時、二階のベランダに母親が息子のために送ってくれたこいのぼりをさっそく飾ったら管理人に美観を損なうからすぐに取ってくれと言われた思い出がある。


それ以来、せっかく送ってもらったそのこいのぼりを飾ることは無く、我が家では端午の節句にはいつも必ずかぶとが家の中で飾られていた。今、思うとあのこいのぼりは一体どうしたのだろうか?と記憶をたどると当時加盟していた日本人会のバザーに出品してしまったんだと思い出して、取っておけばよかったと今になって後悔する。


もし、今日みたいないちめんに広がる青空の日にあのこいのぼりを庭に上げて飾ったらどんなに見栄えがするだろうと、ケアンズの風になびいて泳ぐこいのぼりを想像しながら、幼い頃に見た自宅近くの河川敷で勢いよく泳ぐ大きなこいのぼりを思い出して、いつかまたあのこいのぼりを見たいものだと懐かしむ。