あと1年か

運送屋の掃除が終わり次の2件目のオフィスの掃除を終えた時には既に11時を回っていた。急いで帰宅するとかみさんと息子はいっしょに食事をしようと夕食を取らずに自分の帰りを待っていた。やっと一息つけると3人で食事をしながら大半の会話の内容は自分の掃除の愚痴で「ブラシが無いから便器が拭けない」などたわいもない会話が続いた。


食事が終わるとかみさんが「いつまでこんなのが続くんだろうね」とポツリつぶやいた。かみさんも今日はラーメン屋の仕事でチャーシューを腱鞘炎になるぐらいひたすら切っていたそうだ。その後はウーバーのデリバリーで殆ど休む暇も無い。家の掃除をする時間が無いのでフラストレーションが溜まるとイラついていた。


自分も口には出さないけどもう他人の便器は出来れば見たくない。仕方が無いけど人のうんちを拭くのはもういいかなって感じ。かみさんが「もう後1年こんなことしなくちゃいけないのかな」と言った後3人とも黙ってしまった。食事の片付けをしていたときに「長いね,あと1年」とまたつぶやいた。


今はこんな生活が続いているが、海外旅行が解禁になった暁にはおそらくものすごく忙しくなるだろうとプラス思考でしか考えないことにした。その時には忙しすぎてあの頃の掃除の仕事が懐かしいと思える日がいつか来ることを今は待つしかないと。「あと1年か、頑張るしかないよな」と散歩をしながら分かるはずも無い柴犬のハチに説いた。