風の色

今日は土曜日なのでいつも以上にプールは朝から賑わっていた。いっしょのレーンで泳いでいた女性が「今日は水温がパーフェクトでとっても気持ち良いわね」とほほ笑みながら自分に語る。9月のケアンズは貿易風が毎日吹いて殊更に気持ち良く、肌に爽やかな風で日本で言うなら初夏の薫風といった新緑が香るような風だろうか。


よく草木が動いて風を感じる時に「風の色」と言ったりするけど、その季節の中で風の色を見つけるのは楽しい。日本だったら秋風が吹き始める頃だから稲穂を揺らす風で金風なんて言うけど今はあまり使わなくなったかもしれない。風が吹いていない時でも秋の気配を感じる時には色なき風なんて言った。


時に風は人生にも吹くことがある。よく順風満帆なんて言うけど何事も上手く行っている時は追い風が吹いて楽しくなるけど、人生そうとばかりは行かないもので今のコロナ禍みたいに誰も予想が出来なくて突然に逆風や向かい風になったりして人生の風って本当に風見鶏みたいなものだ。


井上陽水の歌に「海に来なさい」というのがあるけど、自分はこの歌詞が好きで「風上に向かえる足を持ちなさい」という歌のところが何か人生は敢えて風に向かって進んで行かなけれは道は開けないのかなと思ったりもする。今は尚に人生の向かい風だけど、こんな風の色もまた人生には必要なのかもしれない。