蘇ったタスマニアンタイガー

タスマニアン・タイガーがカラー化映像で88年ぶりに蘇った。カラー映像で蘇ったのは、タスマニア・ビューマリス動物園で飼育されていた最後の一頭「ベンジャミン」だ。ベンジャミンの命日である9月7日は現在オーストラリアで「絶滅危惧種の日」に指定されている。


この「絶滅危惧種の日」に合わせてオーストラリア国立映像音声が公開したのが今回のカラー映像化だ。元になった無音のモノクロ映像が撮影されたのは1933年12月のこと、動物学者のディビット・フレイさんが檻の中にいたベンジャミンを撮影した10本のフィルムの中から最長だった1分20秒のフィルムを200時間かけてフランスのフィルム会社がカラー化映像したものだ。


野生のタスマニアン・タイガーは絶滅してしまい飼育されたものが唯一残ったが、それも次々に亡くなってしまい最後の一頭となったベンジャミンだが、閉館してバックヤードに戻るはずの寝ぐらが当時の飼育員の不注意により夜になっても閉ざされたままとなり、観覧檻の中に取り残されたベンジャミンはまだ早春の極寒の中で静かに凍死していた。


このカラー映像はまるで動物園で生きているタスマニアン・タイガーをその場で見ているようで、とても80年以上も前に撮影されたものとは思えない出来栄えだ。この撮影の後、フレイさんはタスマニアン・タイガーにお尻を噛まれたそうだ。今もタスマニアのどこかでタスマニアン・タイガーはひっそりと生きている気がする。