甲斐性が無い

シドニーにいる息子から「Drマーチン」の靴を買ったと電話が入った。普通なら大学生がいちいち親に買ったものなど報告なんかしないと思うが、親の甲斐性が無いので買おうかどうしようか迷ってセールの最終日に買ったらしい。息子は今、政府の援助を受けながら大学に行っている。シドニーはケアンズと違って家賃なんかも高くて暮らすには結構大変な所だ。だから政府には本当に感謝している。


「安く買えた」「自分が気にいったならいいじゃないか、でも今は仕送りは出来ないからお金は大切に使えよ」「分かってる、いつも自炊してる、無駄なお金は使わない」と本当なら人生でも一番楽しいはずの学生時代なのにその貴重な時間を心から楽しめていない。自分の二十歳の頃を思い出すと時代は違えど自分が辿った学生生活と余りにも違い過ぎて息子がみじめに思える。


「家賃は交渉しろ、これは駆け引きだから」「分かった、やってみる」こんなやり取りを19歳の子が普通はしないと思うが、背に腹は代えられない。只々、建築の勉強に専念しながらその傍らで社会の知恵まで付けて行ってる。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。


今日も会計士に今後についてのアドバイスを受けた。このままの状態がまだまだ続いたら、どこかで決断をした方が良いと告げられた。今は意味の無いことをやっているのは重々承知の上だ。 日本にいる父親も85歳だが今だ一人暮らしで頑張っている。まだ生きていろとしか言いようが無い。明日は終戦記念日、でもこっちはまだまだコロナなんかで終戦は迎えられない。