迫る現実

政府からの借入金を返すために自分の年金から引き出してそこから返そうと思ってトライしたけどやっぱりダメだった。オーストラリアでは年金のことをスーパー・アニュエーションと言うんだけど今、自分が持っているまとまったお金はもうこのスーパーしかない。絶対に引き出せないのは分かっていたんだけどやるだけやってみた。


もしこの借金が返せればもう店はいつ畳んでもいいと思っていた。もし倒産したらこの借金は返さなくても良くなるのかもしれないけど、引き際も出来れば倒産ではなく普通に店を閉めたいと思っている。しかし、スーパーで返さないとすると現実的にこの借金をどう返して行けばよいだろうか?


今日、うちの近くでお土産屋を営む友人が店を訪ねて来た。彼もここまで何とか頑張って来た人だがこれ以上はもう難しいらしい。今日は店を閉めたそうだ。これからはもし採用が決まれば空港で働くことになると言っていた。彼も今、大きな決断をしようとしている。今後については弁護士に相談するらしい。


彼とは以前はライバル関係にあったが今は同じケアンズで生き残ってきた者同士として、また経営者にしか分からない苦しみを知る者同士として、今ではお互いに運命共同体のような存在だ。その彼も既に腹を括っている。自分たちも店を閉めるという選択肢がいよいよ現実味を帯びて来た。