都市に移る人

かみさんといっしょにラーメン屋さんで働いていた女性がブリスベンに行くことになった。既に旦那さんはブリスベンで働いている。いつもニコニコと笑顔が絶えない人でかみさんと気の合うお気に入りの女性だったが、残念ながらケアンズからいなくなってしまう。彼女はたまに手伝いでいっしょに働く息子のこともいつも気にかけてくれていた。


またひとりケアンズから去って行く。ここに来てここで暮らしていた日本人が仕事を求めて都市へと移り変えて行っている。日本人の観光に携わって来た人たちは今、ケアンズでの新たな仕事探しに苦労している。雇用先でも同じ採用するなら日本人ではなく言葉の障害の無いオーストラリア人を雇うのも理由のひとつかもしれない。


何かの資格があれば別だが何の取り柄も無い自分のような者は仕事を選ぶのは難しい。旅行関係にいた人たちも同じようにこの問題に直面している。選べるのは勤務時間が不安定なカジュアルの仕事が殆どだからだ。そこで目を向けるのがシドニーやメルボルンと比べて比較的家賃の安いブリスベンだ。


ブリスベンには食品関係など日系企業も多い。フルタイムで採用してくれるところも多いので転職にこの地を選ぶ人が今増えている。以前はケアンズの魅力に惹かれてこの地で暮らすことを決めた日本人が今は生活のために都市に移住して行く。今思うと日本人観光業はそれほどまでにここで暮らす日本人にとって大きな影響をもたらしていたのかもしれない。