思い出のページ

日本の旅行雑誌の編集を手掛けているトラベルライターの方から新年の挨拶のメールが届いていた。特に若い人に人気の旅行雑誌だが、自分たちがこの店を開店した当初から20年ずっと毎年この店を取材してくれている。届いたメールの内容は毎年その年の干支に因んでエディターならではの目線からオーストラリアの動物を紹介してくれているものだ。


ことしは寅年という事で「タスマニアン・タイガー」についての内容が記されていた。もっともタスマニアン・タイガーはオオカミなのでトラではないが、タイガーという名前からこの動物は今年の干支に外せないということで書いたそうだ。記事の最後には今年の寅は壬寅(みずのえとら)ということから新しい息吹をこの世の中に吹き込む年、コロナの終焉と新たな幕開けを迎える1年と結んでいた。


彼も国境が閉鎖されてからこの2年近くどこの国にも行っていないので、今年こそは取材の仕事を通して海外の多くの国に赴きたいという思いが強いらしい。そういう思いも込めて今年の干支である壬寅には期待しているそうだ。「もうすぐ2年になる」、この間ケアンズに来れなかった馴染のお客さんのことを思い浮かべた。


川崎の消防士と保母さんの仲良し夫婦、木登りカンガルーが大好きな高校の先生、従業員共々で訪れるカジノに目がない不動産の社長、毎日二人でゴルフ三昧の上手に年を重ねたおしどり夫婦などなど思い出せば切りがない。「みんなどうしているかな?」、もう次の雑誌の取材に答えることは出来ない。タスマニアン・タイガーは消えてしまったけど積み重ねた思い出のページ はずっとこの先も消えることはない。