日が沈んでいく瞬間

朝、店に向かう途中、市内の中心を走る幹線道路の交差点の所で赤信号で止まっていた。その前を老夫婦が急いで横断しようとしている。おばあさんは車いすに乗って背中を丸めてチョコンと座っていた。おじいさんも丸まった背中で前かがみになりながらおばあさんの乗る車椅子を頑張って押していた。その光景を車の中からぼっーと眺めていた。


今日はイースターの祭日という事もあり車の往来は極端に少ない。この道路は普段の日は混雑している。この老夫婦は普段もこの歩道を渡っているのだろうか?何て考えていた。老夫婦の年齢は85~6歳ぐらいに見える。もうすでに車は運転出来ないような年に差し掛かっている感じだ。


おじいさんはおばあさんが車に引かれないように、回りをしきりに気にしながら目をきょろきょろさせて車椅子を押していた。その時、ふっと「老いるって何なんだろう。。。」と思った。この老夫婦の歩んだ人生はきっと良かったに違いない。ふたりの今を見ただけで歩んだ人生が素晴らしかったことが垣間見れる。それは老いた今も。


日は沈んでいく瞬間が一番美しいと自分は感じる。人は誰でも老いていくし年を取ればそれだけ苦も多くなる。しかし、人生の終焉に近ずくことは決して落ち込むことではない。人生はその年輪を積み上げた分だけ素晴らしいはず、日は沈んでいく瞬間が一番美しい。人生も同じ、老いた時が人生の一番素晴らしい時、老夫婦を見て思った。