足りないひと言

かみさんが朝から愚痴のオンパレードで文句が止まらない。発端は冷蔵庫にあった2つの新しいヨーグルトを息子が両方とも手を付けてしまい、「何で食べかけの方が終わってから次のを開けないの!」と自分にその文句を飛ばして来た。「俺じゃないよ、ヨーグルトなんか俺、食べてないよっ」と言ったらあんたに言ってるんじゃないといいながら矛先はこちらに向かっている。


さらに「何で私が朝から用意してあんたたちの晩ごはんを作んなけゃいけないの! 私は家政婦じゃないんだから!」とさらにボルテージを上げて捲し立てる。「せっかくこっちが作ったって、おいしかったともありがとうとも何も言わないじゃない、もうあんたたちなんかに作りたくない!」と毒節が増す。


実は昨日の晩、かみさんが手をかけて作ったポトフのシチューを熱々のうちに食べて欲しかったのが、自分が緩んでグラグラ動いてしまうトイレの便座をいつまでも直しているので、せっかくの熱いシチューが冷めてしまった。こっちも便座のジョイントする部分のボルトの蓋が錆びて取れなくて結局直せないのでイライラしていた。


無言のまま席に着いて何も言わずに料理を食べ出した挙句、さっさと食べて片付け出したのが気に入らなかったらしい。忙しい合間を縫って自分たちのために美味しい料理を作ろうとしているのに「おいしい」のひと言も無いと腹が立ったようだ。今日の朝はカレーを仕込んでいる。「今日はカレーだ」とにこやかに言ったら「悪い!」と返された。