大きな財産

昨日、久しぶりに旅行雑誌「地球の歩き方」のエディターの方と店で再会した。彼も「実にオーストラリアに来るのは3年ぶりになります」と言っていた。コロナ前までは毎年一回はケアンズに訪れてうちの店の取材をしてくれる。そして新しいブランドや商品をその都度雑誌に紹介してくれていた。


「そうですか。。もう3年が経ちましたか。。」としみじみとあの頃を思い起こしてみた。今となってはあの頃は別の世界。お土産屋さんが殆ど消えた街なかを歩いきながら、今回はどれだけ変わってしまったかを取材するのが目的ですと言っていた。うちの店も日本人にとっての魅力の大型ブランドが今回の件で取引きが無くなり、もちろん新しく加わったブランドも無いので、昨日は何の商品を雑誌に載せるか考えてしまった。


唯一、今もオーダーをかけていた「ブランドストーン」というブーツをメインに載せることになったが実際読者にとってはかなり物足りない内容だと思う。それでも「仕方ないですよ、それより店がまだ存続していることの方が凄いことです」と励ましてくれた。オーストラリアン・セレクトショップが売りのうちの店だったが、今ではローカル・クラフトショップに様変わりしてしまったのだから仕方ない。


帰りがけに「今晩の予定は?」と聞いてみた。20年もの長きに渡ってうちの店を取材してくれたが、もうこれが最後かもしれないと思って食事でもと思ったが、今晩は観光協会の人たちとの会合があるということで、別れる際に丁重に店の入り口で姿が見えなくなるまで見送り続けた。彼とここで出会えたことは自分の中での大きな財産だと心から思う。