見えない糸

平坦な道のりをトコトコと歩き続けて来たら突然その道は険しい上り坂に変わった。人生とは苦楽を繰り返す見えない糸に引かれている。上り坂を上がると二つに分かれた道に出くわした。片方は日本に通じる道、もう片方は振りだしに戻る道。この分岐点に止まって、さてどちらに行こうか迷っている。見えない糸はどちらの道から自分を引くのか。。。


平坦な道を20年歩き続けて来た。この道はもうすぐでゴールに差し掛かっていた。60歳がそのゴールのテープライン。ここから最後の2年はケアンズの集大成と位置付けた、そして息子が大学を卒業したら自分の役目は終わると考えていた。この店を売って日本に帰ると決めていた。


でも、人生はそう容易く平坦な道を歩かせてはくれない。自分の描いたケアンズ人生のシナリオはこのコロナで微塵もなく吹っ飛んだ。もう少しだったけど今は借金という思い荷物を背中に背負って上り坂を登っている。差し掛かった分かれ道は自分を振りだしに戻るように誘っている気がする。見えない糸がその道の方に自分たちを手繰り寄せている。


この道の最初の関門は家賃交渉、納得できれば次は商品の準備に進む。猶予となる期間は半年、どんなに長くても1年。父親次第ではその間も気が抜けない。 来月7月21日から上り坂は緩やかになり活気という空気が回りを取り囲む。とりあえずやって見るしかない。見えない糸に引かれて振りだしに戻ることに決めた。