繰り返す疫病

今からおよそ1800年前の220年頃に中国で疫病が流行した。「建安の疫病」と呼ばれた発疹チフスと思われる伝染病だ。時はあの「三国志」で知られる三国時代で、魏の建国を目指した曹操は赤壁の戦いで疫病によって敗れた。20万の兵が不衛生な軍船や兵舎に密集、今で言う絵に書いたような三密の中でアウトブレイク、ノミやシラミをネズミが媒介して高熱の発疹チフスを引き起こして1000万の兵士が亡くなった。


この時はエンデミック(地域流行)で終わるが、それから1700年後には、アメリカ発症のスぺイン風邪がヨーロッパで起こり世界中に流行、パンデミックになってインフルエンザウイルスによる感染で多くの人が命を落とした。 それからちょうど100年経った今、再び新型ウイルスが世界中に猛威を奮っている。スペイン風邪のようにこのウイルスは今なお共生を与儀なくされている。


こうした間にも我々は歴史の中でコレラやペストなどの細菌による疫病に悩まされて来た。ただ、ワクチンの開発などいずれも近年の医学の進歩によってこれらの疫病を克服してきたが、今回はウイルスも進歩して人類の英知を結集してでも一筋縄では行かない厄介な疫病となって我々の前に立ちはだかっている。


さらに病気の感染だけで無く不確実な情報の流行となるインフォミックも広がった。オーストアラリアでもトイレットペーパーの買い占めなんかは、まさにこのインフォミックに他ならない。 時代と共に複雑化するこの疫病だが、実はこの人類が歩んだ歴史にこそこれを紐解くヒントが隠されているかもしれない気がする。。。