回復するコアラたち

コロナ渦にあって人々は昨年末から数か月間に渡って続いたオーストラリアの大規模な森林火災のことは記憶から少しずつ遠くなりかけているのではないか。既にあれから一年近くが経とうとしているが、この森林火災で甚大な被害を受けたニューサウズウエルズ州自然保護地区周辺の森林や保護された動物たちは今どうなっているだろうか?


ニューサウスウエルズ州は今年にかけて例年以上の降水があったお陰で、植物の再生が思ったより早く進み、現在は山火事で負傷したコアラたちも野生に戻されている。世界で唯一のコアラ専門病院のポート・マッコリ―・コアラ病院では数か月に及ぶ治療とリハビリを続けたコアラたちが次々と野生に返されて行った。


保護された時に全身の90%が火傷に覆われて大怪我を負った雌の「アンウェン」がこのほど奇跡的に他のコアラと共にレイクインズ自然保護区に戻されて話題になった。今回の森林火災ではニューサウスウエルズ州の3分の1のコアラが犠牲になったという報告もあり、コアラや他の動物にとっても今後の安全な環境作りが求められている。


深刻だった南オーストラリアのカンガルー島では島に5万頭が暮らしていたコアラが現在はその10分の1となる5千頭まで減ってしまったが、ここでも救助されたコアラたちが今、元気になって野生に戻っている。コロナ渦という困難な状況にあって、コアラたちの驚くほどの回復はオーストラリアのみならず、全世界の希望の光になるに違いない。