手のひらにのる宇宙の謎

探査機「はやぶさ2」が明日の未明にオーストラリア南部の砂漠地帯ウーメラ周辺域に落下する予定だ。持ち帰った小惑星「リュウグウ」の砂でどんな宇宙のロマンを紐解いてくれるのだろうか? ウーメラの周辺では分離されたカプセルが夜空に光を放ちながら落下する様子が観測できるとあって、オーストラリアでも期待を持ってこの中継を見守っているという事だ。


このウーメラという地名はアボリジニ―語で「投てき」と言う意味を表す。この果てしない砂漠地帯には人が殆ど住んでいない先住民アボリジニ―の聖地にあたる所。今でもこの投てきを使って狩りをしている地球上に残された数少ない狩猟民族が活動するところだ。ブーメランも同様にこうした原始的なやり方で狩りをするのは、オーストラリアが他の大陸から離れたことで新しい技術がアボリジニ―に伝わらなかった結果その伝統が残されたらしい。


そんな投てきを使って狩りをする聖なる大地で、今度は人類が宇宙の謎を探る為の準備を整えているなんて、何とも壮大なスペクトラムを感じる瞬間としか言いようがない。オーストラリア政府もまた近年の世界的な宇宙産業の成長を背景に、宇宙政策に力を注ぎ2年前から「スペースアカデミー」を創設して宇宙の分野に積極的に参加している。


オーストラリアに帰還するカプセルが一体どんな宇宙の壮大な歴史を見せてくれるのか、手のひらにのるほどの砂がその答えを導きだすなんてこの先が楽しみでならない。コロナウイルスが世界中に蔓延する中で、「はやぶさ2」のミッションは多くの人に夢と希望を与えるに違いない。