「光」そして「喜」

ライバル店だった隣の店も遂に来年早々に閉店することになった。今までお互いに切磋琢磨してきた間柄だがこの状況に歯止めが利かなかったらしい。もちろんお客さんは海外からの観光客が中心の店だったので閉店も止むを得ない。もうこれ以上待っていても海外旅行者は後1年ぐらい戻ってこないと判断した上での決断だったということだ。


コロナ前はお互いライバル同士だったのでこちらも負けないようにとお客さんの獲得に精進したつもりだ。しかし、今考えるとこうして店を築き上げてこれたのも近くにライバルがいたからこそだと感じる。そう思うと今は只々淋しいし悔しい、そしてうちもそう遠くないところで同じように決断する時が来るかもしれないと思うと底知れぬ不安を感じざるを得ない。


ただ、こうして必死で食らいついている自分たちを見て何とか救おうとしてくれている人が回りにいる。このコロナ渦で常連さんになってくれたお客さん達だが、今日もうちの店に足を運んでくれた。もう店の中の商品が限られて来ているのに何かないかと探して買ってくれている。自分はこうした人たちに恩返しをする意味でもこの先も出来るところまで何とか頑張りたい。


政府からの援助が終わる来年3月までがひとつの区切りになるだろう。その先は文字通り自分たちだけの力で店を切り盛りしていかなければならなくなる。今はおそらく人生で最大のピンチであることに間違いはない。自分たちにとって今年の世相をひと言でいえば「闇」だ。来年は「光」そしてその先に見えるのは「喜」で結びたい。