海の吹雪

今年もピンク色の雪が舞い上がる !  常夏のケアンズで雪が降るの? しかもピンクの雪?
何て思う人がいるかもしれない。実はこれ、年に一度しか見られない水中に舞う吹雪に例えたグレートバリアリーフの コーラル・スポーニングという、つまりサンゴの産卵だ。今年もこの時期が遂に訪れた。


夏の本格的な始まりと共に11月の終わりから12月の初めにかけて満月の後、2日後ぐらいに起こる世にも神秘的な海の自然界が起こすファンタジーだ。バンドルと呼ばれるサンゴの精子と卵子の入ったピンク色のカプセルを一斉に海中に放出するこの様子は「海の吹雪」と例えられ、何兆個ものバンドルが舞いあがることからまるでピンク色の天の川を見ているよう。


この後、バンドルは海面に向かって上昇し続け受精した後に再び海底に沈んみ、その後長い時間をかけてサンゴに成長していく。この瞬間をサンゴと共有しようと世界中から海洋学者やダイバーがここケアンズに訪れる。この世にも不思議なコーラル・スポーニングの現象だが未だ詳しい生態の内容なはっきりしていない。


真夏のケアンズでピンク色の雪を見る事が出来るなんて、ちょっと普通では味わえない体験だ。このサンゴの産卵は海水温度が26度~27度の時にしか起こらない。今、グレートバリアリーフは地球 温暖化による海水温の上昇でこの美しいサンゴ礁が危機に晒されている。この1年に一度しか見られないピンク色の妖艶を絶対に絶やすわけにはいかない。