ひとつはブルーの瞳

最近は以前に増して目の視力が悪くなったと感じることが多くなった。自分は角膜が突起する角膜円錐という角膜が歪んでいる病気なので、普段は特殊なコンタクトレンズで矯正しながら視力を出しているが外すと乱視で世の中がぼやけて見えてしまう。夜にお月さんを見ると花火のように月が疎らにたくさん見える。


ロサンジェルスにいた時にふらっと寄ったリトルトーキョーの日本人眼科医から紹介された先生がカリフォルニア随一のこの病気の権威の方で、早速、特に見えない左目だけ角膜の移植手術をすることになった。手術台に寝かされた後に開瞼器を使って目を閉じないように施されたと思ったらいきなり擦りごき棒のような 麻酔の注射の針が目に近ずいて来て、思わず「来た!来た!来たっ!」ともうその一点に集中した後、目に刺したのを憶えている。


きれいな角膜が移植され手術は無事終了、それから自分の左目はブルーになった。というのは冗談で両目とも現在もちゃんと黒い瞳のままだ。 でもオーストラリアでは実際に左右の瞳の色が違うコアラが実在した。ブリスベンで車に跳ねられて怪我をしてしまい野生病院に搬送されたコアラの瞳の色は何と左右が違っていた。


このコアラの右の瞳はきれいな透き通ったブルーの色で左目は普通の茶色い瞳だった。これは虹彩異色症と呼ばれる先天性の形質で犬や猫では見られるらしいがコアラでは大変珍しい例だそう。同じ左右の瞳の色が違っていたミュージシャンのディビット・ボウイさんに因んでこのコアラは「ボウイ」と名付けられた。